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- 真っ青な秋晴れの空の下、松井さん夫妻は手を振りあって、お互いの作業の進み具合を確認します。長靴がずぶずぶ沈みこむほどにやわらかい土は、種を蒔く前に30cm以上も土を掘ってひっくり返す「天地返し」という手間をかけ、堆肥を与えて育てたもの。除草剤も使わず、草取りも全部手作業です。「ほっ！」。軽い掛け声とともに元子さんがひき抜いた大根は、よく肥えて真っ黒な土とのコントラストも鮮やかな真っ白、まっすぐ。「土が固かったり石がまじってたりすると、大根は曲がっちゃうのよ。土がいいと、味も素直でみずみずしくなるのよ」。その元子さんの言葉通り、ぱきりと割ってみれば朝日にきらきらと水分が輝くほどにみずみずしい。夫婦ふたりの土づくりが、大根のおいしさにダイレクトに繋がっています。「もともと農家の生まれだったけれど、本格的に畑仕事をするようになったのは、嫁いで来てからね。もう、40年以上になるのねえ。最近では、西洋野菜とか、新しい野菜もいろいろ挑戦しているの。ズッキーニとか、ソラマメとか。除草剤や化学肥料を使わない野菜づくりは、大変だけれどやりがいもいっぱい。子供や孫たちにも、安心して食べさせられるからね」。健やかな畑で育った健やか野菜が、ふるさとの子供たちを健康に育てているのです。
